障害年金の「認定基準」、年金機構の職員も問題視
「SankeiBiz(サンケイビズ)」は2015年8月25日掲載の記事で、日本年金機構で障害年金の業務を経験した職員のうち、半数超が「制度や事務運用を改善すべきだ」と感じていることが、機構による職員意識調査で分かったと報じています。
以前より、障害年金の認定基準をめぐっては、精神・知的・発達障害の判定に地域でばらつきがあることが問題になっていましたが、今回の調査により、年金機構の職員の中にも制度や運用について疑問を抱いている人が多いことがわかりました。
調査は2015年1月に障害年金の業務経験がある1969人に実施し、そのうち55%に当たる1086人が「問題点や改善すべき点がある」と回答しています。特に、受給条件の一つで特定が難しく申請者の大きな壁になっている「初診日の証明」に関する意見が543件と多数を占めました。
障害年金の受給には、該当する傷病で医療機関に初めてかかった診断日、いわゆる「初診日」を特定する証拠が必要になりますが、「確認書類がない場合でも、現在の障害の状態が基準に該当し、保険料の未納がなければ認めることができないか」といった声が多く挙がりました。
障害年金申請の際には、現状の傷病を証明する「受診状況等証明書」の初診日と、その傷病で初めてかかった医療機関に書いてもらう「診断書」の初診日が一致していないと申請はできません。病名が変わらない場合は問題ない話ですが、変わるケースでは大変重要な問題になってきます。
例えば神経症からうつ病へと症状が変わった場合、因果関係があるので神経症と診断された初診日から認定期間として申請を行うことができる場合がありますが、医師によっては現在の傷病と異なるので、神経症で初めて病院にかかった日を初診日として記載をしてくれない場合が多くあります。これにより認定期間が短くなり、遡及請求の金額が少なくなったり、受給そのものができなくなる事例も発生しています。
このような問題を解消するため、精神・知的・発達障害の判定に客観的な指標を盛り込む新たなガイドラインを厚生労働省の専門家検討会で作成していますので、今後の動向に注目です。